ファンドレイジングモデル事例1
NPO法人子育て支援センターちびっこはうすでは、2013年、日本財団の助成を受け、はじめての寄付を集めるチャリティイベントとして、「チャリティバレエコンサートin やまなし」を開催しました。このイベントは、開催費用には日本財団からの助成金が使われ、イベントを通して集めた寄付は、全額、他団体(山梨県の里親の会と東日本大震災の被災地・陸前高田市のきずな基金)に寄付されるものです。
このイベントは、2011年に宮澤さんが研修でボストンを訪れた際に、現地バレエ団の日本人ダンサーが演じる被災地支援のショーを観たことがきっかけで思いついたそうです。山梨には、宮澤さんも大好きな「清里フィールドバレエ」があり、自分でもチャレンジしたいと思ったそうです。
目標金額は250万円。はじめての大きなチャリティイベントを行なううえで、宮澤さんはいくつかの工夫をしました。
寄付の金額にバリエーションをもたせました。「1000円」、「3000円」といった額から、「100,000円」、「200,000円」といった額まで、申込用紙には8種類の金額を提示し、寄付者が身の丈にあった金額を寄付できるようにしました。
また、10,000円以上の寄付者には、チャリティバレエの入場券を1枚、お渡ししました。
寄付の金額によって出来ることを提示しました。
「1,000円あれば里親について広報ができる」、
「3,000円あれば里親の学習会が開ける」、
「5,000円あれば里親の相談やサポートができる」、
「10,000円あれば子どもたちの体験活動ができる」
といったように、寄付したことで具体的にどんなことが起きるのかを、イメージしやすくしました。
1,000円あれば・・・
里親の広報ができます。「里親」は、あまり知られてないうえ、誤解や偏見があります。もっとたくさんの人に「里親」について知っていいただき、地域で支えていきましょう。
3,000円あれば・・・
学習会を開けます。「里親」の必要性や「里親」になるための手続き、「里親」になってからの継続的なサポートなどの学習会が必要です。
5,000円あれば・・・
里親の相談・サポートができます、「里親」も一般の子育て支援と同じように支援の手が必要ですが、十分ではありません。
里親の苦労や負担を少しでも和らげる対策が求められています。
10,000円あれば・・・
こども達の体験活動ができます。養護施設や里親などのもとで養育されているこども達にも、様々な体験活動をしてもらいたいものです。
宮澤さんは、500通のダイレクトメールより、顔をあわせて話すクチコミの方が断然、効果があると思い、スタッフにも積極的に寄付を募ってもらうようにお願いをしました。寄付のお願いは、スタッフからスタッフへと伝わり、そこからクチコミが広がっていったことで、寄付者は増えていきました。
ホームページでは、目標金額への到達状況を随時アップしていくなど、参加者を巻き込む仕掛けも取り入れました。寄付が集まり、目標金額に近づいていくと、「あともう一息!」と応援する機運が高まりました。
はじめは、寄付が集まるのか、まわりのスタッフは半信半疑だったそうですが、寄付の額が増えてくると、スタッフのモチベーションもあがっていったそうです。寄付申込みのFAXが届くたび、手に取ったスタッフは宮澤さんに自分で見せたくて、急いで宮澤さんのもとに持ってきたそうです。
結果として、集まった寄付金は215万1000円となり、山梨県の里親の会と東日本大震災の被災地・陸前高田市のきずな基金に全額、寄付されました。